「お宝、持ってるだろーなって思ってさ☆」
油断した。
まさかこんなに早く盗賊に出会うなんて。
そしてよりにもよって卵を……
最後にあの盗賊の顔が頭に浮かび、そして俺の意識は途切れた。
「あのー、もしもーし。」
…………。
「シュウ君!」
「ん……?」
日の光がまぶしい。
どうやら完全に意識を失っていたらしいな。
そして目の前には、眼鏡をかけたハンターとおぼしき人。
「ああ、よかった。無事でしたか。」
間違いない。
青いハンター協会の腕章がついている。
この人はアクアスのハンターだ。
「一応生きてます。ご迷惑をお掛けしました。」
「いえいえ、別に何をしたってわけでもありませんから。それより……。」
と、彼は俺の腕を見る。
ああ。
俺と同じ考えらしい。
「貴方はフレイム支部のハンターさんですね?」
「その通りです。依頼で少しこの国へやって来ていたんですが……。」
「ほう?」
「実は、依頼された物を盗賊に盗まれまして……。」
「ふうむ……それは間違いないですね。」
「と、言うと?」
「犯人は、我が国で現在盗難事件を連続で起こしている盗賊です。」
やっぱりか。
しかし、あいつが言った「奥義解放」という言葉が気になるな。
そんな解放言霊は聞いたことがない。
「それに、その盗賊・左之助は何度か協会のクエストを妨害しているので、協会の諜報部隊に追われているんですよ。きっと、協会に連絡をすれば何か協力してくれるでしょうから、私がアクアス支部まで行ってきましょう。」
彼はニコリと笑いかけ、そう言った。
「ありがとうございます!……ええと、……。」
しまった。名前を聞いてない。
「ああ、申し訳ありません。自己紹介が遅れました。私はアクアス王国のハンターで乱舞と申します。」
「俺はフレイムのシュウです。」
「では、さっそくですがここでお待ち下さい。私が話をつけてきましょう。」
「わかりました。」
ラッキーだったなぁ。
乱舞さんみたいな親切なハンターに出会えるとは。
……ところで、何かが引っかかる。
何故か俺は、乱舞さんを知っている気がするんだ。
どうしてだろう。
だけど、思い出せそうで思い出せない。
でも確かな事がある。
彼も俺を知っている。