第1部 新米ハンターの冒険録

「お宝、持ってるだろーなって思ってさ☆」
油断した。
まさかこんなに早く盗賊に出会うなんて。
そしてよりにもよって卵を……
最後にあの盗賊の顔が頭に浮かび、そして俺の意識は途切れた。

第19話『I know him. He knows me.』

「あのー、もしもーし。」

…………。

「シュウ君!」


「ん……?」

日の光がまぶしい。
どうやら完全に意識を失っていたらしいな。
そして目の前には、眼鏡をかけたハンターとおぼしき人。

「ああ、よかった。無事でしたか。」

間違いない。
青いハンター協会の腕章がついている。
この人はアクアスのハンターだ。

「一応生きてます。ご迷惑をお掛けしました。」
「いえいえ、別に何をしたってわけでもありませんから。それより……。」

と、彼は俺の腕を見る。
ああ。
俺と同じ考えらしい。

「貴方はフレイム支部のハンターさんですね?」
「その通りです。依頼で少しこの国へやって来ていたんですが……。」
「ほう?」

「実は、依頼された物を盗賊に盗まれまして……。」


「ふうむ……それは間違いないですね。」
「と、言うと?」
「犯人は、我が国で現在盗難事件を連続で起こしている盗賊です。」

やっぱりか。
しかし、あいつが言った「奥義解放」という言葉が気になるな。
そんな解放言霊は聞いたことがない。

「それに、その盗賊・左之助は何度か協会のクエストを妨害しているので、協会の諜報部隊に追われているんですよ。きっと、協会に連絡をすれば何か協力してくれるでしょうから、私がアクアス支部まで行ってきましょう。」

彼はニコリと笑いかけ、そう言った。

「ありがとうございます!……ええと、……。」

しまった。名前を聞いてない。

「ああ、申し訳ありません。自己紹介が遅れました。私はアクアス王国のハンターで乱舞と申します。」
「俺はフレイムのシュウです。」
「では、さっそくですがここでお待ち下さい。私が話をつけてきましょう。」
「わかりました。」

ラッキーだったなぁ。
乱舞さんみたいな親切なハンターに出会えるとは。

……ところで、何かが引っかかる。
何故か俺は、乱舞さんを知っている気がするんだ。
どうしてだろう。
だけど、思い出せそうで思い出せない。

でも確かな事がある。

彼も俺を知っている。

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