第2部 失われた島の冒険録

プロローグ <動き出した歯車>

西の大国・エアリア王国。
その北端に位置するシドン領から軍が隊列を成して出発した。
部隊が掲げる旗は、エアリア王国旗ではなく、金色の獅子が中心に描かれていた。
隊列の中心には、大きな輿。
中には豪勢なマントを羽織る中年の男が座っている。
その輿に追随して歩く兵士の中に、 ハンター協会のライス・バーグ卿の姿があった。

サンドランド王国旗を掲げる部隊は、
再び王として砂漠に君臨しようとする男を護りながら南へ向かう。

一方、遠く離れた地でも同じように隊列を成して行軍する部隊があった。
しかし、この行列の兵士達には皆生気がなく、遠い目をしたまま前へと進んでいく。
何らかの軍旗を掲げているわけでもなく、ただひたすらに目的地へと進んでいく。
彼らを指揮しているような人物も居らず、 だが、それでいて彼らは隊列を決して崩さずに少し気味の悪いくらいに正確な列のまま進む。

“世界に絶望の種を撒け”。

そんな声が、どこかから聞こえてきた。