第1部 新米ハンターの冒険録

まあ、態度が怪しいからそんなこったろうとは思ったんだけど……。
まさかこの妙な卵がねぇ?

第03話『卵を求めるのは』

「実はその卵はコッコちゃん♪ の卵と言うもので、入手が非常に難しいことから協会は最高レア級アイテムに定めています。」
「さ、最高レア!?」


あらゆる物品を扱うハンター協会では、 依頼の難易度の目安となるよう物品にいくつかのレア度基準を定めている。
協会が定めている基準の中で最も価値が高く、難易度が高いものが最高レア級とされている。
まあ、俺じゃ一生お目にかかれないようなモノってことだったんだけど……。

まさか、こんな卵が最高レアとは……。

「コッコちゃん♪ の卵は、“霊鳥の卵”とも呼ばれているんだ。さまざまな能力を引き出したり、あらゆるものを復活させると言われているんだよ。」
「こ、これがねぇ。」
「信じられなくても仕方はないが……、まあ、ともかく価値が非常に高いんだ。」

聞いたことがある。
最高レア級のアイテムってのは、それはもうとんでもない値段で取引されるとか。
持ってるだけでもウッハウハらしいな。

「しかし、その卵はあまり人に見せないほうがいいよ。最高レア級となったら何とかして奪おうとする奴もいるからね。」
「さっきのあんたみたいにか?」
「そ、それは言わないお約束だよ。あはは。」


完全に顔が引きつってますよ。お兄さん。
ま、その代わり情報を吐いてもらうか。

「で、本当に取引情報はないの?」
「う、うん。ないことはないんだけどね。」
「なにさ。」
「それがちょっと厄介な話でね。」

受付の彼はごそごそと引き出しから書類を取り出した。
どうやら依頼の書類の束らしい。
その中から一枚引っこ抜くと、こちらに渡してきた。

「それがその……依頼状なんだけどね。依頼主の情報欄を見て欲しいんだ。」
「ん……?」

どれどれ。

「細かく言えば依頼主の住所だ。」

えーと……?
砂漠の大国……、サンドランド。
サ、サンドランドだって!?

「そうなんだよ。あのサンドランドなんだ。」


サンドランド。
エアリア王国アクアス王国の二つの大国を結ぶ拠点として栄えた砂漠のオアシスから、 砂漠の大国と呼ばれるまでの大発展を遂げた王国だ。
でも……。

「でも、サンドランドって今は……。」
「そうですね……。今は、行き来することも困難ですから、かなり難易度の高い依頼でしょう。」

半年前、サンドランドに悲劇が訪れた。
あの国の発展を支えてきたオアシスの水が枯渇したんだ。
その後次々と災厄に見舞われたサンドランドからは、やがて人が離れていった。
さらに、これは最近ニュースでやっていたけど、 サンドランドと隣国を結ぶ街道に、強烈な砂嵐が発生したらしい。
その為、元々好意的でなかったエアリア王国だけでなく、 アクアス王国までもが国境の封鎖を決定したって。

「なんとか砂嵐を突破する方法はないのか?」
「ある事はありますよ。ただし……それなりに難しい条件が。」

聞くしかないだろ!
ウッハウハになる為にも!

「構わないよ。教えてくれ!」

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