第1部 新米ハンターの冒険録

「残念ながら、我々協会のギルドが正式に依頼を受ける事はできません。
ですが、ハンター達に依頼を仲介することならできます。」
それでも構わん。頼むぞ……、御主ら以外にもう頼れる所がないのじゃ……。」
「……はい。我々も出来うる限りの協力はさせて頂きます。中将殿。」


あれは半月ほど前のことだっただろうか。
まさかこんなにも早く“卵”が発見されるとは、奇跡以外の何でもない。
だがしかし、見つけたのはまだ若い新米ハンターとは……。

第02話『奇跡のハンター』

しばらく呆然としていたが、私はすぐに冷静に対応を始めた。

「あ、ああ、これはね。その、大した事じゃなくて……これを募集してる依頼主がいてね。」
「え、まじで? ラッキーだったなあ。で、報酬は?」
「あ、えーとですね、ちょっと待ってくださいね。書類で確認してきますので。」

どうする?
あの方に確認できる時間もない。
このまま、彼に依頼を任せるべきだろうか?
……いや、事は重大。
上手く言いくるめて、卵を回収するのが得策だろう。

何か、私の私物で彼のくいつきそうなものは……。

……これだ!
これなら彼も飛びつくはずですっ!

「この依頼の報酬はですね……、職安整理券です!」
「えー、それいらないよ。さっきの依頼の時、二枚もらったから。」

しまった!
わ、私としたことが、こんな少年相手に交渉に失敗するとは……。
落ち着きなさい、私! まだ、まだチャンスはあります!

「だけでは……なくてですね。」
「まだあるんだ?」
「ええ、も、もちろん。えーと、もう1つは……ちょっと待っててくださいね。書類で確認してきます。」

アポロン! 落ち着きなさい!
ここが正念場です! 踏ん張らねば!
何がある!?

……これだ!

「私のかけているGの眼鏡がついてきます!」
「何だよその眼鏡! 何であんたの眼鏡が報酬につくんだよ! いらないよ!」

しまった!
これは最近協会で開発されたばかりの魔器……。 一般にはまだ知られていないんでしたね。

「依頼のほうはいいよ。また良いのがあったら教えてくれたら。」
「そ……そうですか。」

わ、私としたことが……。 この程度の新米ハンター相手に交渉を失敗するとは……!
しかし、ここまできては隠し通す事はできませんね。
……話さなければ、ならないか。

この卵が、何であるかを。

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