『こちら』でも『あちら』でもない、ある場所。
そこには世界から隔離された孤島があった。
島から見上げれば大地。
島から見渡せど大地。
大地に囲まれていながら、そこからは見えぬ場所。
その島の奥深くで蠢くモノ。
「帰ってきたか。」
「…………。」
闇の中で、その者は語りかけた。
ソレは無言で頷く。
「どうなった。種は。」
「…………。」
ソレはもう1度静かに頷き、そしてこう答えた。
「種は、放たれた。かの地では既に絶望の花が咲き乱れ、我らが望めし道を歩みつつある。」
その者は、嬉しそうに笑った。
笑い声はどこまでも響き渡り闇はより濃くなっていく。
「しかし、もう一方は妙な輩に追われているようだな……。まぁ、いい。 もうすぐ、もうすぐだ。我が願いは、愚民どもの絶望の念が叶えてくれる。」
悠久の時を越えて、ようやく奴を再びこの大地に……!