ハロウィン。
もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事であったとされるが、
現代では民間行事として定着し、祝祭本来の宗教的な意味合いはほとんどなくなっている。
今や仮装して悪ノリし、お菓子をせびる行事となりつつあるのは周知の事実である。
「酒だー! 酒を持ってこい!」
「おい、俺の飴ちゃんどこやった!? 勝手に食べたやつは容赦しねぇぞ!」
「うぇーいwwww 先輩、楽しんでますかー?wwww」
「ちょっと、気安く触らないでちょうだいよ!」
「すいませんww 今日くらい良いかな、って思ってwww」
フレイムの山奥で、祭りを祝う者たち。
美味い酒に酔い、大声で歌を歌う。
年長者にもこの日ばかりは無礼講。
「やれやれ。コイツらも祭りは好きなのは、アタシたちと一緒かい。」
「それはそうでござろう、姉者。思うがままに騒ぎ、酒を飲み、歌う。
こんなに自由に、限りある命を謳歌できる日はそうござらん。」
「…うーん。何だか、『祭り』の本来の意味から離れてる気もするがねぇ…。」
「姉者は真面目でござるな。」
2人が見つめる先には、ハロウィンの祭りに酔いしれる者たちの姿があった。
これ以上なく自由で、限りある命を謳歌する者たち。
祭りの名の下にやりたい放題する人が多いのは、いつの世もどこの国でも同じかもしれない。
ただ、少しだけ他と違うのは……。
「うへへ……しゃけのおかわりどこりゃ!?」
「酔っ払い、こっち来るんじゃねぇ! コボルトがさっき運んでったよ! それより俺の飴ちゃんは!?」
「うぇーいwwwww ブタメン先輩、なんでゴリラのスーツ着てるんですかwwwww」
「うるさわいね、ウェイゾンビ。私はスーツアクターになるのよ! 決めたの!」
「すませんwww てか、キレないでww そして、先輩酔ってますよねwwww」
そう。人ではない。
魔物たちも、祭りは大好きだ。