第1部 新米ハンターの冒険録

さあ、やってまいりましたリサイクルショップ!
俺の命を守る中古品はどれでしょうか☆
……あーあ。

第05話『裏口は地味な極秘店舗』

フレイム王国 リサイクルショップ ────

「おっと、地味過ぎて通り過ぎるところだった。」

まさかビルの裏口が店の入り口とは。
意味不明な場所に店を作りやがってからに。
しかも人がいない。
店員に文句も言えないじゃないか!


「地味すぎるとは酷い言い方じゃねぇか。」

と、どこからかおっさん声。
あたりを見回してみたらレジの前に立ってた。
店も店なら、店主も店主。
地味すぎて気づかなかったよ。

「ああ、ごめんごめん。でも場所は考えたほうがよくないか? ここ。」
「何でだ?」
だってこんな場所じゃ地味……じゃなくて、目立たなくて客がこないだろ?」
「それでいいんだよ。」
「は?」

どうしたんだこの店主。
客があまりにも来ないから とうとう何か悟ったのか。

「リサイクルショップなんだから、客がこなけりゃ品物もなくなるし、利益も上がらないだろ!」
「いやそれでいいんだよ。」

おい、誰か救急を呼べ。
……いや店の中には俺とおっさん。
仕方ないから俺が救急を呼ぶか……。

と、店を出かけたその時だった。

「ここはタダのリサイクルショップじゃねぇからな。」

有料のリサイクルショップ、とでも言うつもりなのだろうな。
あーやれやれ。

「じゃあなんなんだ? 一体どういう店なんだ、ここは?」

一応、聞き返してあげる俺。
親切だとは思いませんか。

「馬鹿野郎。まだ気づかないのか。とっとと品物を見て見やがれってんだ!」

品物ぉ?
あ、あんな所にショーケースが。
これまたあまりにも地味すぎて気づかなかったよ。


「どれどれ。…………うげっ!

なんとびっくり玉手箱だ。
ケースの中には、明らかに凄そうな武具と旅の補助品などなどがズラリ。
た、確かにタダのリサイクルショップではなさそうだ。

しかしキッチリと値札がついている。かなりお高い。
た、確かに無料のリサイクルショップでもなさそうだ。

「やっと気づきやがったか! この店を一般人の汗臭い服や装飾具のリサイクル屋と思うな! ここはなぁ。協会所属のハンター達の為のリサイクルショップなんだよ!

な、な、な、そんな裏店舗がビルの裏口に!
なるほど受付のお兄さんが、俺をここへ行くように言ったのもそういうワケか。

……あ。そういえば。

それでは協会の者を手配しておきますので、先に街のリサイクルショップへ行ってください。

協会の人を手配してくれるとか言ってたっけ?
いないような気がするけどなぁ。
また地味すぎて気づいてないだけか?

「うーん、やっぱいない……まだ来てないのか。」
「はぁ? 誰を探してるんだ?」
「いやさー。協会の人が来る予定なんだけどね。」
「協会の人間だぁ? 何でまた。」
「俺の装備を整える手助けをしてくれる手はずになってるんだ。」
「ああ、それなら俺だよ。」


は?
今なんと?

「アポロンから連絡は受けてるぜ。お前がその新米だったのか。さっさと言えよ。」

受付のお兄さんってアポロンって言うのか。
どっかで聞いたことのあるような名前……ってそんな事はこの際どーでもいい。

あんたがお手伝いさんか! さっさと言えよ!

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